その後どうなったのか。
彼らはというと、碧羽の只ならぬ熱き期待を宿した腐視線に気づき、居た堪れなくなってしまった。
そこで両者、不純なるバトルは不戦勝として、両者ともに采配があがった……らしい。
結局シラケてしまった彼らは、そそくさと己のノルマであるドルチェを平らげ、一行はカフェを後にしたのであった。
「ねえ碧羽。どこか寄りたいところとかない? 今日は僕ら『デート』だろ。どこでも碧羽の好きなところに連れてってあげるよ」
「…………」
凜のその科白に、スイッチが切り替わった碧羽は、急速に脳内を混沌が期してゆくのであった。
めくるめく、濃霧に満ちた腐の樹海。
碧羽は片っ端から、腐関連にヒットする店舗名の羅列に、思考が占拠されてしまった。……凜の『デート』という科白は、見事にスルーされる。
(アニメ〇イトに……まん〇らけ、とら〇あな……そうだ! コミケっていつだったっけ?)
ぶつぶつと、碧羽は腐気をまき散らしながら思案している。その様子を、凜と漸は遠巻きに見守っている。
どうにも先ほどから背筋がゾクゾクと……などと、ふたりは敏感に良からぬオーラ的な何かを感じ取っていた。……誠に遺憾ではあるが、その感覚は的中していた。
「碧羽どうしたの? 悩むほど候補があるんだ? てか……なんだか今日は寒いよね」
「俺もさっきから、背筋がゾクゾクするわ。つかよ、なけりゃ帰ればいいんじゃね? 部屋でまったりしようぜ」

