それは双子の努力の末、切磋琢磨と恋愛経験値及び、碧羽を傷つける女子を懐柔することにより、碧羽に向かう妬心の牙を折ることに成功した。

 これで晴れて、大手を振って碧羽とともに、また以前のような仲の良い関係に戻れると、凜と漸は心のなかで狂喜乱舞するのであった。

 だがしかし……碧羽の出した条件により、乱舞する心の上昇は急降下するのであった。



「ねえ碧羽。いい感じの本、見つかった?」

「ん~どうしよっか……コレとコレ、どっちにしようか迷ってるところなの」

「ふ~ん……どれどれ、見せてみて?……うわ~またエグいの選んでるねえ」

「そうかな。BLならこれくらい、ふつうだよ? というより、もっとすごいのだってあるんだから」

「へえ……そうなの? (クローゼットで見たのよりも凄いのかな)な、なんか……僕それは知りたくないかも」

「そう? 読みたかったら、いつでも言ってね。本棚にたくさんあるから」

「う、ん……ありがとう」

 あはは、と笑って、凜が碧羽に愛想笑いをする。

 だがしかし、其れはカラ笑いじゃなかろうか? などと、漸はふたりのやり取りを、遠くの書架から生温かく見守りつつ思うのであった。