「せっかく誕生日に、あーーんなカワイイ子が告ってくれたのに?手作りのお菓子が入ってんだよ?知ってる??」


ハァ、と大きなため息をついた彼女はそう言った。



「カワイイ子かもしれないけど、好きじゃないから。」

それにこの紙袋はあの子が最後に無理矢理渡してきただけであって。

そんなこと言わずとも彼女は知っているのに。知らないふりをしている。

「あーあ!そんなこと言っちゃって!」


ひどい男、と目の前の彼女は笑った。



「ほんとにひどいのはどっち?」



「え?」


ガタン、と大きな音がふたりっきりの教室に響いた。





僕の机に頬杖をついていた彼女の手をひっぱり、僕はキスをした。



それは一瞬の出来事だった。



「...んっ」



あぁ、もう。そういうのが、ずるいんだよ。