都心にあるというのに、木々に覆われた緑豊かな公園。
広い公園の中ベンチに座る文子を見つけ出した。
「文子!」
俺の声に、その顔を上げた。
「私のこと、怒っていいよ。徹から逃げたし、それに……さっきの人のこと黙ってたし。どうせ聞いたんでしょ? 昨日一緒だったこととか」
俺は、ベンチに座る文子の正面に立った。
「文子から話して。あの人の言葉はどうでもいい。文子の言葉を聞きたい」
俺を見上げる苦しげな目をただ見つめ返す。
「……私、嘘つくかもしれないよ。本当のこと言わないかも――」
自嘲気味に、そして悲しげに言う文子の言葉を遮った。
「俺は文子を信じるから。何があっても」
俺の想いを知ってほしい。
俺の想いの全部を分からせたい。
「もしそれでおまえに裏切られることがあったとしても構わないよ。おまえになら傷付けられても悔いはない」
分かるだろうか。
この言葉の意味が。
おまえを信じるのになんの防御も必要ない。
おまえに騙されるなら仕方ないと思う。
少しの迷いもなく想っているから。
だから――。
「俺はおまえを信じてる。何よりも信じたいと思う。それだけの存在だよ、俺にとってのおまえは」
強い眼差しのままで見つめていると、その綺麗な目から涙が一筋流れ落ちた。



