披露宴では、やっぱりというか予想通りというか、こらえきれなくて泣いてしまった。

お父さんやお母さんが泣いているのを見ればつられて涙は出て来るし、渉君の生い立ちビデオなんて見てしまえば勝手にいろいろ蘇って来て泣いてしまうし、もうダメだった。


「ママ、なんで泣いてるの?」


不思議そうに子供たちに顔を覗き込まれる。


「嬉しいからよ」

「嬉しいと泣くの?」

「そうよ。嬉しくても人は泣いちゃうの」


それに、この子どもたちもいつかはこうやって巣立って行く日が来るのかななんて想像しても涙は出て来るわけで。


「ほら、ハンカチ」


隣に座る徹が私にそっとハンカチを渡してくれた。


「ありがと」


あまりに泣き過ぎるのもみっともない気がして懸命に涙を拭った。


「お姉さんと渉は、渉が子どもの時からずっと仲良かったから泣いてしまうのも無理ないよな」


同じテーブルに座る崇君が助け舟を出してくれた。
崇君も今では立派な一児のパパだ。


「そうだな。渉は子供の頃、文子のこと大好きだったもんな」


徹が私を見つめてそう言った。


「私が渉君に優しくしてもらってたのよ」


また泣きそうになって俯いた。