結局次に二人でゆっくり会えた時には、季節はもう夏になっていた。
徹も休みがあるにはあったけれど、二人の休日が合うということがなかった。
病院内でほんの数分顔を合わせたり、お昼ご飯をたまに一緒に食べてみたり、お互いほんの少しでも顔は見るように努力した。
それでも、何日も会えないのなんてザラだった。
そんな中でも、徹は必ず一日に一度はメールをくれる。
私はやっぱり、大切にしてもらえているのだと思う。
だから、二人で丸一日休日を過ごすなんていうのは、三月以来だ。
(やっと会えるんだ。どこか行こうか)
徹はそう言ってくれたけど、休みの日まで無理をしてほしくなかった。
ゆっくり身体を休めてほしい。
(それより、うちに来ない? 久しぶりに手料理振る舞うから)
(でも、おまえもたまにはどこか行きたいんじゃないのか?)
(別にそんなのいいの。私がそうしたい)
無理してそう言っているわけではなかった。本当に二人で過ごせればそれで良かった。
(……ありがと。実は、文子の料理、久しぶりに食べたかった)
小さな声で打ち明けて来た徹に、思わず顔もほころぶ。
(うん。まかせてね。ほんと、久しぶりだな)
最近はそんな機会もなかった。
喜んでもらいたくて、私なりに頑張ることにしたのだ。
そして七月中旬。
徹が我が家へとやって来た。



