相変わらずの無表情。
新人とは思えない落ち着きぶり。

そう心の中で思って苦笑する。

こうやって遠くから白衣姿の徹を見るのは新鮮で。
本当に医者になるんだなって思えば、それも感慨深かった。

同じ研修医グループの中に、川名さんの姿もあった。

徹と同じように大学からそのまま付属病院を研修先に選んだのだろう。


彼女と徹が良い仲間だってことはもう分かっている。
二人の姿を見ても、もう何も心はざわめくことはない。

振り返れば、徹と出会ってもう八年が経ったのだ。


これまでいろんなことがあって、大喧嘩したこともあるし、「もう別れてやる」って騒いだこともあるけど、結局私たちは一緒にいることをやめなかった。

その手を離すことは出来なかった。


この先もどうなるかは分からないけど、やっぱり私は徹といたいと思う。
医者としての道を目指し努力している徹の傍にいたい。

心の中で『頑張れ』と呟いて、私はまた前を見た。