「助かったようで助かってないな」
「……まあ、取り囲みは助けてもらえたけど、
……弁当はな……」
仕方ないから家で夜に食べるしかないかな。
お昼は、琉心の弁当と愛華の弁当持って屋上に行かないと。
「夏樹、おまえ食うか?」
愛華からもらった弁当を夏樹の前に出してみる。
けれど、
「は?いらねーよ。
俺は、陽葵のしか受けとんない」
二ヒッと笑う夏樹。
「……あっ、そ」
「そうそう」
どうせ、陽葵に弁当なんか貰えねえんだから、素直に受け取ればいいのに。
「……夏くん」
「ひ、ひ、ひひま……陽葵!!??」
俯きながら俺達の所に来た陽葵。
てか、陽葵は夏樹のこと“夏くん”なんて呼んでるんだ。
まあ、陽葵らしいな。
「あのっ、クッキー焼きすぎたから……2人で食べてっ……///
そ、それじゃっ……//」
クッキーを無理やり夏樹に押し付けて愛華たちの元に戻った陽葵。
ふと、夏樹の顔を覗き込むと……
ボーゼンとしていた。
「おーい?夏樹?おまえ、生きてる?」
夏樹の前で手をふる。
それでも、まだ気が戻ってきてない。
……ああ。
夏樹は、とうとう……


