嘘つき少女



私は生きてきた中で今までに幾度となく嘘をついてきた。
それは、全て自己満足のための嘘だ。他人に評価されたいがために嘘をつき、自分の都合のいいように嘘をつく。日常生活でそんな嘘ばかりついている私は、平気で嘘をつくようになっていた。

しかし、それと同時に私は世界で一番【嘘】というものを嫌っていた。自分が嘘をつかれていると知ると、絶望感に浸り、嘘をついた者を憎む。「なぜ私に嘘をついたのか?」と心の中で相手に何度も何度も繰り返す。そうするとあなたは思うだろう。



なら、嘘をついている自分はどうなんだ…と。



その答えは単純で私は嘘をつく自分が嫌いだ。平気な顔をして嘘をつき、罪悪感さえ起きなくなる自分が嫌いだ。私みたいなやつがいたらと思うと、身の毛もよだつほどだ。だが、またあなたは思うだろう。



なら、嘘をつかなければいい



それは正論だ。嘘をつく自分と他人を酷く嫌うのならば自分が嘘をつかなければ全ては丸く収まる。だが、できるのならばそうしてる。しかしそれができないから私はまた嘘をつく。

こんなのはただの言い訳にしかならないことも私はわかっている。世界中の人々がこれを知れば、なんと身勝手な人間だ……と、口を揃えて言うだろう。



しかし、ここで私は問いたい。






【あなたは今まで生きてきた中で嘘をついたことはありますか?】






何かを守るための嘘というそんな綺麗事ではなく、そんな馬鹿げた意味ではなく。「自己満足の嘘」をついたことはないだろうか。

物心つく前から、人は平気で嘘をつく。嘘をつくのが苦手な人なんて見たことがない。そんな化け物はいるのだろうか……いや、今の世の中にはいないだろう。そう断言できる。


テレビで見る芸能人やアイドル。彼らは幼い子供にとってはキラキラしていて雲の上のような人々だ。しかし彼らだって【嘘】という下劣な行為を平気な顔で全世界に向かってしている。最近幾度となく報道されるスキャンダル。さらには国民からの信頼を得ているはずの政治家までもが【嘘】をついている。



もはや、何が真実で嘘なのか。



それは【嘘】をついた自分にしか判断出来ない。否、こうなってしまうと自分でも判断出来ないのかもしれない。となると街中ですれ違う人、学校のクラスメイト、信頼している友達……共に過ごしてきた家族でさえも【嘘】をついているのだ。

そう考えると、何を信じていいのかすらわからない。何を頼りに生きればいいのかわからない。わからない、わからないんだ。



だから私は今日も明日も明後日も嘘をつく。




【自分を守るために】