「これは父ちゃんに食べてもらうやつ」 「うわ、かわいそー」 「俺はおまえのが欲しいんだよ」 朝日は私の目を捉えた。 あまりにも真剣な目で言うから、戸惑った。 「あげないよ」 「持ってるくせに?」 「あげられないもん」 「なんで」 「ああ!そうだったっ、私急ぎの用事があったんだった!……じゃねっ」 みえる嘘をついてその場から逃げようとする。 案の定逃げられなかった。 やっぱり捕まえられてしまった。