「何度も聞くのもなんだけど……ホントに私と飲んで楽しいの?」
駅までの道のりを歩きながら、彼女は小首を傾げて俺に尋ねた。
歓楽街から一本外れた街路樹の続く道は、オフィスビルが立ち並んでいる。
たまたま営業後に発掘した焼き鳥屋へと、誘った帰り道のことだった。
その店の大将は、カウンター席にいるこちらの会話に耳を傾けることもない。
ただひたすら焼き鳥の串と格闘しているような、ざっかけない店だ。
炭火焼のコンロに肉の脂が落ちバチバチと燃える音がBGMで、それと比例した煙と香ばしい匂いがふたりの間を白く霞ませる。
全体的に煤けていてお世辞にも綺麗とは言い難い店だが、焼き鳥の味は絶品だった。
「三峰さんも美味しいの、好きでしょ」
「それは、そうだけど。……みんなそうじゃないの」
店で四杯も飲んだレモンサワーのせいで、頬の赤い三峰主任の姿に苦笑した。
彼女と飲むのは、すでに片手を超える回数になっている。
仕事は出来てもどこか不器用で、ひととの付き合いに一線を引いているから誤解されやすいのだと分かった。
興味深いひとだ、と思う。
そしてその何度か、遠回りをしながら聞き出した言葉の端々で、本当にあの横田に惚れていたらしい。
酒の威力を借りて聞き出すのは卑怯だと分かっていても、普段の彼女は鉄壁なのだから仕方がない。
負の感情をコントールしていて、手ごわいのだ。
だから今回も敢えての、このタイミングで話を振ってみる。
「そういえばまだ、あのひとに振り回されてるみたいっすね」

