ゆーちゃんは、私のおでこに冷えピタを貼ったり、寒いと言ったら毛布をかぶせてくれたり、一生懸命看病してくれた。

「あいか、大丈夫か?今日まだ何も食べてないんだろ?何か食べたいものあるか?」

「ん…食欲ないから食べたくない…」

「そうは言っても食わなかったら治るものも治んねーだろ….。おかゆかなんか作ってくるよ」

「あ…ありがとう」

「すぐ出来るからな、それまで少し眠っておけ。」

優しい声に甘えて私は目を閉じる。



「けほっこほこほっ」

息苦しい、熱い…寂しい…。
風邪ってこんなに辛いものだっけ?

「あいか、大丈夫か?」

「ゆー…ちゃん…。」

「卵粥にしたんだけど、食べられるか?」

「うーん、少しなら…」

ゆーちゃんの作るご飯、美味しいから。
あんまり食欲ないけどガッカリさせたくないもんね。

「少しでいいから食えよ。食ったら薬飲んで、もう1回寝ろ。今日は俺泊まっていくから。」

そう言いながらゆーちゃんはわたしの体を起こした。

ゆーちゃんはお粥をすくって、ちょっと熱いかな、なんて言ってフーフーしてる。
ほんとにかっこいい、お茶碗を持つ手もキレイで、フーフーしてるのも様になってる。

「なに見惚れてるんだよ」

そう言っていたずらっぽくニッと笑った。

私は思っていたことを言われて、恥ずかしくなってうつむく。

「うつむいてたら食えねーだろ、顔上げろ」

と、顔を引っ張られる。

!?これは俗に言う顎クイというものでは!!

「ちょ、、ゆーちゃん!」

「いーから、口開けろ」

ゆーちゃんが私の前におかゆを突き出す。

「え、」

強引に、けど優しく口に押し込まれた。

しっかり冷ましてくれたから、熱くはなかったけど、びっくりして口に含んだまま私は固まってしまった。

「おーい、あいか?」

ああ、びっくりした…。

私はそのままおかゆを飲み込んだ。

「おいしいです…」


「……ぶはっ」

ゆーちゃんが吹き出した。

「くくっ……それはよかったな(笑)」

そう言ってもう一口食べさせてくれた。

結局半分くらいで限界がきて、食べられなくなった。ゆーちゃんが買ってきてくれた市販薬を飲んで、横になった。


「ゆーちゃん、今日遊園地行けなくてごめんね…?」

「いいって、早く治してまた行けばいいだろ」

「うん…っ」

私はゆーちゃんに甘えたくなって、手を握った。

「なに?甘えたいの?」

ニヤついたゆーちゃんが顔を近づけてきた。


「え、いや、ダメだよっ風邪うつるじゃん」


「お前、そういうの生殺しって言うんだぞ?」

「え」

ゆーちゃんは握った手にチュッとキスをした。

熱は関係なく、私の顔は熱くなってしまった。

「治ったらおぼえとけよ」


……覚えとけってどういうことだろう。
考えてみても分からなかった。少しの期待を持って、温もりを感じながら眠った。