ピンポーン

あ、ゆーちゃん来た。ゆっくり立ち上がって玄関まで行く。

「ゆーちゃん…来てくれてありがとう。予定つぶしちゃってごめんね」

ゆーちゃんにこれ以上心配かけたくなくて、無理やり笑顔をつくる。

「いいんだよ、気にするなって言っただろ?それよりあいか、具合どう?」

「うん、良くはないかな…」

「お見舞い、買ってきたから。ベッド行こうか。」

そう言うとゆーちゃんは私の肩を抱いて、ふらつく私を支えてくれた。

「ほら、あいかは寝てな」

優しく頭を撫でてくれる。

「うん…ありがとう」

そう言ってベッドに横になった。

「熱は測ったのか?」

「ううん、まだ…」

「体温計どこ?」

「そこの救急箱の中だよ。取ってくれる?」

「はい。」

ゆーちゃんは体温計を手渡してくれた。
ゆっくり起き上がって脇にはさむ。
その動作さえ辛くて思わずため息をついた。

「大分辛そうだな…」

心配そうに私の顔をのぞき込むゆーちゃん。

「ううん、心配かけてごめんね。」

「ああ、早く治せよ。」

ああ、好きだなぁ。ゆーちゃんはほんとに優しい。ダメってわかってるのに甘えたい。甘えたらゆーちゃんならきっと優しくしてくれるから。

ピピピっ

あ、体温計鳴った。

「ゆーちゃん、39度2分もあったよ…」

最悪、高熱じゃん…。こんなの見ると余計に怠くなってきた。

「今は病院に行くのも辛いよな…。とりあえずもう1回横になっとけ。な?」

そう言ってゆーちゃんは私の体を支えて寝かせてくれた。

辛くて気持ち悪くて、頭は痛いのに、ゆーちゃんの優しさが嬉しくて、また泣けてきた。

「ふぇ…ゆーちゃん…」

「泣くなよ。俺がそばにいるから安心しろ、な?」

「ごめんねゆーちゃん…ありがとう、だいすき」

ゆーちゃんの優しさのせいか、熱のせいか、いつもは言えない言葉がスラスラと出てきた。

ゆーちゃんはふっと笑って私のおでこを撫でてくれた。