今日も私は、図書室に本を読みに行く。
毎日の放課後はそこで本を読んだり勉強をしたりしている。

体験入学で、図書室が広いこの学校を気に入って頑張って勉強して入ったんだ。
頑張ってよかった〜。

そうだ、今日は奥の席に行こう。

誰からも見えないような奥のテーブル。

そこには机に突っ伏して寝てる人がいた。
なんとなくその人から目が離せなくて私は立ち止まっていた。
窓から入る西陽が彼を照らす中、彼はぐっすり眠っている。起こしたら悪いな、そう思って少し離れた机で本を読むことにした。


時間が経って、もう閉館の時間だ。


そういえば、あの人起こした方がいいのかな…?でも寝起き悪かったらどうしよう…迷った挙句、やっぱり閉じ込められたら大変なので起こすことにした。



「あの…もうすぐ閉館ですよ?帰れなくなっちゃいますよ?」



この人起きない…どうしよう…
それにしても綺麗だなあ。これをイケメンというのか…と近くでまじまじと顔を見つめていると急に彼が目を開けた。

「うわ!!」





「やっと見つけた」






え?!この人やっと見つけた、とか言ったよね?私のこと探してたってこと?!私なんかした?(自意識過剰)

突然のことに驚いて心臓が暴れている。


「ごめんごめん、なんでもない。それより俺のことめっちゃ見てたね」



起きてたんだ!!確信犯!!

「あ、は、はい」

「なんか付いてた?」

「い、いや綺麗なお顔だなあって」

「ふーん」

否定しないんかい。


「明日もここにいる?」

「行くつもりですけど…」

「わかった。じゃあまたね」

「は、はい、さよなら〜」

ってほんとなんで普通に返事してるんだ私。それにしても、やっと見つけた、なんてキザなセリフどこから切り取ったんだろう、と少しバカにしながら帰った。

ー翌日の放課後ー

「こんにちは、おちびちゃん」

「こんにちは…」

身長小さいの気にしてるんだぞ。
『ちっちゃいのやだああ〜』とか言ってるそこら辺の女子とかとはもう次元が違う。



「昨日はごめんね、寝てた」

「ぐっすりでしたね…」

「本読みにきてるの?」

「当たり前です」

「そっか〜だよね」

ククッと笑う先輩。大げさに笑わないところ、品があるなあ。

「ねえ、1人じゃ寂しいから一緒に昼寝しない?」

ああ、お昼寝いいな…って!

「ダメです!高校生の男女がこんなところで…」

って何考えてるんだ私は!!もう!!

「どんな妄想してるの?」

ニヤニヤしながら近づく先輩。

「いや…なにも…」

「ふーん?」

先輩にみ、見つめられてる…
私赤面症だから絶対今顔赤い!
どうしよう、と慌てているとフッと先輩が笑った。

「いつもからかわれるでしょ?」

「その通りです…」

「そっかそっか〜じゃあ今日も疲れたでしょ?俺の隣にいるとよく眠れるよ」

えええ…どうしよう…
まあ人もいるし大丈夫だよね。
私って楽観的…

「今日だけですよ」

「おお〜、じゃあお喋りしながら寝ようか。小さい声でね。」

「はい」

好きな本の話をした。
先輩も本が好きらしい。寝てるだけじゃなかったんだ。ちょっと見直した。





そうして10分も経たないうちに私は眠りに入っていった。










この高校、図書室がすっごく広い!!
ここに入りたいな〜…本もたくさん!

たくさんある中から一冊の本を選んだ。
チビだから届かなくて困ってたら、在校生の方がとってくれた。

私の特技は本を早く読むことなので、1時間くらいで読み終わった。


その本は恋愛小説だった。最後のシーンで男の子が女の子に

「やっと見つけた」

って言うの。それで終わり。続きが気になるしまた読みたいなあ。いいな〜あの女の子!!













気付いたら微睡みの中にいた。
あれ…?さっきのは夢か…

やっと見つけた…やっと見つけたって…





「せんぱ…」

「やっと見つけた」

「先輩…!」

「覚えてるよね?俺が体験入学の日に、君が届かなかった本を取ったこと」

そうだ…本を取ってくれた人はこの人だ…顔もよく見えてなかったからわかんなかった…


「なんで先輩この本…」

ドキドキと感激とその他色んな感情でぐちゃぐちゃな私。言葉が出てこない。

「君に一目惚れした。だから君の読む本が気になって読んでみた」

「一目惚れ…」

「そういえば、あの本続き気になるよね。あれで完結みたいだし…うん。俺の言いたい事わかってくれる?」

「…はい。多分…」

クスッと笑う先輩。

「明日もまたここで会おうね?」