『あ、あのっ!よかったら、これっ……!』
とっさに、何か思うより先に引き止めていた。
差し出した手にはレースのあしらわれた白いハンカチ。
『…いいの?使っても』
『ど、どうぞ…!』
どうして、ハンカチを渡しただけなのにこんなにも胸が高鳴るんだろう。
…まるで初めて会ったとは思えないくらい胸が苦しくなるのはなんでだろう。
彼はしばらくハンカチを見つめていたが、やがて静かに首を振るとハンカチを返してきた。
『やっぱり、こんな綺麗なハンカチ使えないよ。
……それに、これくらいの傷、舐めときゃ治る』
そう呟くと同時にケガをした左手をペロッと舐める。
『〜〜っ…!』
その姿があまりにも妖艶で美しくて、あたしは息をするのも忘れて見惚れてしまった。

