『ひ、左手っ!ケガしてますっ!』
『…ん?あぁ、ホントだ』
あたしがそう指摘すると彼は今気付いたように左手に目をやった。
……彼の左手には擦り傷があり、そこからほんの少し血がにじんでいた。
どうしよ…軽いケガだけど、あたしを助けた時についた傷だよね……
『ご、ごめんなさいっ!今手当てしますからっ!』
『いや、君が謝ることじゃないから。
…それに大したことないし』
慌てて頭を下げるあたしに彼は首を振るが、すかさずそれに抗議する。
『そ、それじゃあたしの気がすみませんし、とにかく手当てさせてくださいっ!!!』
そのまま土下座でもしそうな勢いのあたしに、彼は呆れたようだったがそれでも『ホラ』と左手を出してくれた。

