えぇえええ⁉︎ちょっとちょっと!!!
とんでもないイケメンがお姫様抱っこをしてる光景は人通りの多いこの道路ではいやでも目につく。
あちこちであたしたちに向けられる視線が痛い。
…手、痛くならないのかな……
元々あんまり男の子に触れたことがないせいか、あたしを抱きかかえるたくましい腕にドキドキしてしまう。
あ、あたし、何考えてんの!
ていうか、絶対重いでしょ!
『あ、あの……あたし、もう大丈夫ですので…』
それにこれ以上このままだったらあたし、心臓がドキドキし過ぎて死んじゃうよ…
あたしがそう言うと彼はベンチにそっと下ろしてくれた。
ここはよく通学でも通る公園。
秋になり日が落ちるのが早くなったせいか、公園にはあたしたち以外人はいない。
…一方彼はというと無表情であたしの隣に腰掛けるなり、何も話そうとしない。
無口な人、なのかな…?

