まだ中学生だったあたしは勉強は中の下。


将来についても何かしたいことがあるワケでもなく、それなりの高校に入れたらそれで満足って感じ。



…まあ、智花は都内でも有名な難関校、永南高校を受験するつもりだったし、離れてしまうのは少し寂しかったけど。


『もう秋だなぁ……』


すっかり紅や黄に染まった景色を見て、あたしはため息とともにそんなことを呟く。


秋は好きじゃないけど、手のひらみたいにかわいい紅葉は好き。



すっかり紅く衣替えした木から、紅葉が一枚舞い散ってそう思った時だった。



『そこの子!危ない‼︎』