「……じゃあ、一年前あたしに見せてくれたあの笑顔も、ウソだったんですね……?」
ぴたり、とセンパイの動きが止まった。
しかし、それも一瞬でセンパイはすぐに踵を返してしまった。
「……ウソだよ」
その声色は何故か震えてるような気がしたけど、多分あたしの聞き間違いだろう。
…センパイがどんな表情だったのかは分からない。
センパイはそのままスタスタと歩いて行ってしまった。
……今日のことが全て夢ならよかったのに。
センパイがヴァンパイアだなんて、知らなかったらよかったのに。
センパイ…血にしかキョーミないならどうしてあたしにあんなに優しくしてくれたんですか。
それも計算の上だったんですか?
……じゃあ。
それなら、優しくなんてしないでくださいよ。
ヴァンパイアだって分かっても、あたしのことなんて好きじゃないって分かってても。
……センパイのこと、嫌いになんてなれないよ。

