…それこそ、センパイはホントに意味が分からないというように首を傾げた。



「…なんで泣く必要があるの?

君だってホントは血を吸われて記憶が消えるはずだった。……でもそれを拒んだのは君だ」



…そう、だけど。


ずず、と鼻水をすする。



…あぁ、ヴァンパイアであるセンパイには人間の心が分からないんだろうか。



「……勘違いしないで。君と付き合うって言ったのも、血を吸うためだけだ。

……俺は血にしかキョーミないんだよ」



…そうか。


結局センパイはあたしのことが好きなんじゃなくて、単純に血を吸おうと思っただけなんだ。



……だから、あの時かばってくれたのも、全て血が欲しかっただけで……



そうだ。あの時センパイのキスを拒まなかったらあたしはセンパイがヴァンパイアだなんて知ることもなかったんだろう。



ぜんぶ、忘れてればよかったのに……