そう言うと、センパイは何故かきょとんとした。


「……血だけ吸いたいなら、あたしじゃなくても、ほ、他の女の子でもいいじゃないですか!」



…そこまで言って真っ先に思い浮かんだのはセンパイに告白して血を吸われた女の子。



ヴァンパイアのキスは記憶を消すためだと言っていたけど、それでも胸が痛むのは変わらない。



…だって、あたし、ずっと好きだったセンパイのカノジョになれて嬉しかったんだよ?


……なのに……



「……なんで、泣いてんの」



センパイの言葉であたしはようやく涙が頰を伝っていることに気付いた。


慌てて涙を拭う。



「…なっ、泣いてませんっ!」


そう叫ぶけど、涙は止まらず顔はぐしゃぐしゃだ。