吸血ロミオ



センパイ……どうしてそんな悲しそうな顔、するの?



「〜っ」



あたしは普段と違うセンパイが怖いはずなのに、そんな表情を見てると胸が締め付けられた。



「…覚えて、ないの?」


何が?


あたしとセンパイがあの日初めて会ったこと?


それなら……


「センパイの方こそ、忘れてるじゃないですか……」


ふるふる、と首を横に振る。


センパイは一瞬驚いたように、そしてとても悲しそうに頰に当てていた手を離した。