ハッとした表情で振り向いたセンパイはあたしの姿を見るなり、その瞳を妖しく輝かせた。
「……見てたんだ。
まあ、ちょうどいいか。そろそろ喰べようと思ってたころだし」
センパイは悪びれる様子もなくあっけらかんと言い放つ。
対してあたしは黙ったままだ……正確にはあまりにもいっぺんに色々なことが起こりすぎて声が出せない。
「……俺、ヴァンパイアなんだ」
センパイは…何を言ってるの?
ヴァンパイアって、あの血吸うやつだよね?
コウモリになって、十字架とニンニクが苦手な……あのヴァンパイア⁉︎
センパイ、こんな時に冗談⁉︎
それとも、あたしに知らない女の子とキスしたことをごまかそうとしてるの⁉︎
でも…じゃあさっきのあのキバは何⁉︎
やっぱり頭が着いて行かない。
でも、センパイの瞳は人間とは違う妖しい輝きがあって、そんな状況じゃないのにセンパイのことを綺麗だと思ってしまった。

