「さっ……桜井忍センパイっ!好きです!あたしと……お、おおお付き合いしてくださいっ!」




言った!よっしゃ言えたよ、あたし!



若干テンパったような気もするけど、キチンと伝えられた……よね?




……あたし、これで一生分の勇気を使い切った気がする。




でも、ずっと好きだったんだもん……



どうか、OKがもらえますように!



あたしは祈るような気持ちでぎゅっと目を瞑った。



ひんやりとした秋風が熱く火照ったあたしの頬を撫でる。




それはまるであたしの興奮した心を鎮めていくみたいで。



今の10月の屋上で寒いはずなのに、あたしは心地よさを感じていた。



……どうしよう。



引かれたかな。



よく考えたらそうだよね。



だってあたしと彼はしゃべったことなんてないし。



彼からしたらあたしなんて、突然告白してきた変な女でしかないもん。



「………………」



勇気を振り絞ったあたしとは対照的に彼は黙ったまま。




……う、沈黙が突き刺さるよぉ。



思いを伝えたはいいけど、OKもらえる自信なんてこれっぽっちもない。


だって、センパイは告白してきた女の子を全部ぶったぎっていると有名なあの氷の王子だし……

……じゃあなんで告白したんだよ、あたし。



うわああって叫びたくなって、あたしは心の中で頭を抱える。




返事を待つまでの一秒一秒がものすごく長く感じた。