……なんて。



これはホントはあの日センパイと初めて会った時の思い出として持ってるもの。




……センパイ、これを見てもあたしのこと思い出さないのかな……


センパイの中であたしの記憶はそんなに薄かったのかな……



少しでも彼の中にあたしの記憶が残っていればいいと思ってたあたしは少し気分が沈む。



……まあ、けっこう前のことだし、モテモテなセンパイにとって一度会っただけの女の子のことなんて覚えてないだろう。



「……君、仕返しとかされたらどうするワケ?」


考えてると、センパイが突然話しかけてきた。


仕返しねぇ……


久美子たち、怒ってたしぜったいまた何かしてくる。


……でも、あんまりセンパイに心配はかけちゃいけない。



「まあ、なんとかなりますよ。

これでもあたし、けっこう度胸ありますから!」



ニカッと笑ってそう言ったが、センパイは無表情で首を振った。



「……そんなこと言って。

何かあったら困る。これから何かされたら絶対に言って。分かった?」


有無を言わさない強い口調に「はい…」と頷く他はない。



……えーと、心配してくれてるんだよね。


その気持ちがとても嬉しくなるけど、やっぱり心配かけたくない思いは強い。



……高峰小春!


ここはセンパイの彼女にふさわしくなれるように頑張らないと!




……あたしはこの時センパイが何を考えてるかなんて知らずに、一人勝手に気合を入れていた。