吸血ロミオ



久美子って、センパイのこと好きだったんだ……




……でもさ。


だからってあたしがセンパイを諦めろ、ということにはならないんじゃない?



好きになるのはその人の自由だし、センパイが選ぶ人も自由なんだから。



「ねえ、聞いてんの?」


久美子が顔をしかめた。


その顔は日頃男子たちに向けるスマイルとは大違いだ。



「……ていうかセンパイも趣味悪すぎない?

こんなののどこがいいの?センパイも大したことないのね」



……ぶちっ。


あたしの中で何かが音を立ててキレた。



……別にあたしのことをバカにすることはいい。


でも……


あたしは一度大きく息を吸った。



「あたしの好きなセンパイのことまでバカにしないでよ!!」


「なっ…」



急に大声を出したあたしに久美子たちも一瞬驚いたようだった。


でも、久美子の顔はみるみる真っ赤になっていく。



一瞬フグみたいだな、と思ってしまった。


でも、そんな呑気なこと考えてられない。


「何よ!あなた!生意気なのよ!!!」


ぶちぎれた久美子があたしに向かって手を振り下ろしてきた。



……な、殴られるっ!


あたしは思わず目を瞑って、身体を硬くした。





……あれ?痛くない。



なんで……?


そっと目を開ける。




「……俺の彼女に何してんの」