……うげ。
仁王立ちで腕を組みながらあたしを睨むのはこのクラスでもハデで目立つタイプの立花久美子。
「話があるんだけど」
……断れるフンイキじゃないよね。
心配そうに見る智花にあたしは「大丈夫」と笑ってみせた。
連れて来られた先は人気のない廊下。
張り詰めた空気が流れる。
……ヤバい。息が詰まりそう。
気が強くてよく取り巻きを引き連れて行動している彼女のことははっきり言って……苦手。
見た限りぜったいいい話じゃない。
あたしはイヤな気持ちが思いっきり顔に出てしまったようだ。
気付かれたらヤバいと慌てて表情を作り変え、平然を装って「何か用?」と笑いかける。
……よかった。気付かれてないみたい。
しかし、安心したのも束の間、引きつったような笑いのあたしと違って彼女らは口を真一文字に結んだままだ。
「察しろ」と言わんばかりの態度だ。
……言いたいことがあるなら、さっさと言えばいいのに。
「……ねぇ、高峰さん、あなた桜井センパイと付き合い出したってホント?」
……うわ。来た。やっぱりその話だよね。
「高峰さん、久美子が桜井センパイのこと好きなの知ってるよね?」
「そーそー、久美子が狙ってるの知ってて、付き合うとかマジ最悪」
「久美子かわいそー」
久美子に続けて取り巻きたちも口々に嫌味を言ってくる。

