明後日、“勇者”となった儀式が行われる。

神聖な儀式だから、数人しか入れないとかいう。

十年前。

王族である俺たち兄弟、俺...リスキーと弟のジアン王子、妹のシフォネ姫、母...ロヴィナ王妃、父...カイン王、あと宰相と、神の子...占い師が付き添った。

勇者自身は、大きな丸でくり抜かれた屋根の下で立っている。

頭には短いヴェールを被せ、勇者の顔は見にくかった。

その儀式専用の服。

真っ白のように見える服なのだが、光に当たると、キラキラ瞬き、いろんな色を見せる、不思議な服だった。

あのときの印象は深く、美しく思ったから、鮮明に覚えてる。

あのときのことを、当事者となってふりかえれるなど、思ってもいなかった。

歴史的に、まず、ありえなかった。

王族は、普通、勇者になれるようなものじゃないのだ。

王族は王族というジャンルがあるから、いつも勇者は平民から出していた。

だからこそ、勇者は羨ましがられ、妬まれやすかった。

それがどうだろう。

歴史上、初だといえよう。

王子が勇者になることなど。

なぜこんなことが起きたのか...

それは、母が平民出だったから。

なんと、父と母は、恋愛婚だったのだ。

王族では滅多にないことだ。

だから、俺たちは、「人を好きになりなさい。自分が1番、この人といたい、と思えたら...ね?国の利益なんて考えなくていい。きみたちの人生なんだから。」

普通のことを言ったんだ。

でも、俺らからしたら、普通じゃない。

から、心に響いた。

話を戻して...

母は平民出だ。

だから、王族と平民の血が混ざった状態。

なにがいいたいかわかる?

つまり、平民の中で、勇者になれる確率が、2分の1なら、俺たちは、4分の1ってわけだ。

まぁ、言ってみれば、ハーフだから。

なわけで、その4分の1の確率のなかの、すっっっっごい奇跡的に、俺が選ばれた。

ほんっっーーーーーーとに奇跡な感じで。

国民どれ位いると思ったんだよ....

2億人くらいだよ...

まぁまぁいるっていうな

まぁ、すごい確率でなったんだ。

でも、これは奇跡なんかじゃないのかもしれない。

これは、“運命”と呼ぶんじゃないか。

それがわかったのは、少しあとのこと。