いつだってそうだ。

千瀬は守れない約束なんてしない。それはわたしが一番理解していて、普段約束をしない彼がわざわざ"約束"してくれたことに、深い意味なんて求める必要すらなくて。



「……うん、」



素直に返事すれば、千瀬は安心したように微笑んでくれた。

わたしの肩から力が抜けたのを確認して彼がゆっくりと腕を解くから、それに合わせてわたしも離れる。ソファに腰掛けたところで、外へ行っていたミヤケがもどってきた。



「……おかえりなさい」



「おー。お前の嫌な予感当たるもんだな」



「………」



「んな顔してんなよ。

あいつらがああやってこっちの敷地に居られんのだって、お前が動いたからだろ。東西良好にやってんだから、やられた理由がお前だったとしても西は文句を言わねーよ」




それでも。

彼らが傷ついた理由はわたしで、やられた本人たちにとっては相手が誰でも関係ない。……あんな風に話しかけてくれたのに、わたしのせいで、傷つけてしまった。



「お前ができることは。

……東でトップに立つ男を、支えることだろ」



「……ミヤケ、」



「千瀬はお前のことを守ってくれる。

でもお前は体格差とかそういうのふくめて同じことはできねーんだから。……ちゃんと千瀬のこと信じててやれよ」



ミヤケに千瀬のことを言われると、すんなり心に入ってくるのは。

彼が誰よりも千瀬のことを理解していて、お互いに信頼しているのだと痛いほどに知ってるからだ。



「こいつは、ずっと莉胡至上主義なんだよ。

お前が千瀬を信じてる分だけ、力を発揮すんだっての」



そのミヤケが、こう言ってくれるんだから。

わたしが信じなくて、誰が信じるっていうの。