帰りのHRが終わり、

由羅が私の席に駆け寄ってくる。

「玲奈、行こ!!」

おぃ、ちょっとまだ道具しまってないし。

由羅はマイペースな私を急かす。

「なぁにー由羅ちゃん!

あ、もしかしてバレンタインの買い物ー?」

「岸くんっ!えへへ、なんで分かったのー?」

「ぃや、さっき話してたのさ、

聞いちゃったんだょねーぇ☆」

「もぉー、盗み聞きぃー!笑」

由羅、女の子女の子してるっ笑

「玲奈ちゃんも、一緒に行くの?」

岸くんに初めて名前呼ばれた。

初めて話したし。

「あっ!!う、ううん!うん。」

つい声が裏返ってしまう。

アイドルと話すのって

こんなに緊張するんだ。

「玲奈ちゃん、風邪?

はい、これあげっから!」

ズボンから取り出したのは、

レモン味ののど飴。

「俺も歌うからさー、声枯れんだよな!」

「あ、ありがとぅ・・・」

「んぢゃーな、玲奈ちゃん!」

私の頭を2回ポンポンと笑顔で軽く叩いて

教室から出て行った。

「ほら、あーゆうところ。好き。」

「あーね。」

なぜか焦ってそっけなく返してしまった。

確かにキュンキュンしちゃった。

あの片方だけ上がる口角。好きかも。

「だけど私のだからね!由羅のだから!」

由羅のほっぺが膨れる。

自分のスカートの裾をぎゅっと握ってる。

これは由羅が怒ってる時の癖。

「あーはいはい!興味ないから!」

きっと頭ポンポンしたのに

嫉妬してるんだと思う。

私たちはバレンタインの買い物に向かった。