屋上に行く途中で神田先生とすれ違った。
「あ、神田先生!やっほー!」
「今時の挨拶みたいだな」
そう言いながら頭にポンっと優しく手を置く先生。
私の小さい頃からこんなことをしてくる先生で、とても優しい人なのだ。
そして、嘘が付けない人。
「先生、私は20才まで生きられますか?」
いきなり出た言葉に私は咄嗟に口を抑えた。
そして、先生の目を見た。
先生は、驚いた顔をして、でもすぐ笑顔を作って言った。
「もちろん。先生が治すさ。」
そして、また、頭にポンっと手を載せて逃げるように消えてった。
先生は嘘つきだ。
私が初めて先生は嘘が付けない人だと知ったのは、中学1年生の夏だった。
