「その足、きっと治るよ。」 「あぁ。治して甲子園に出るよ。」 「その時は私に甲子園って場所がどんな感じか教えてよ。テレビで見てるから。」 その顔が真剣だったから、俺もつられて真剣な顔になった。 「絶対に教える。約束するよ。」 「なら、指切りしよ。」 「おう。」 そして、俺達は春の朝、約束をした。 この時は知らなかった。 萌音が二十歳まで生きられないってこと。 この約束を果たせずに萌音が居なくなってしまうこと。