【彩羽side】
*********

「まだかな……」




「ふふ、そわそわしすぎだよ彩羽」




「だって梨華!!」




「大丈夫だよ彩羽ちゃん、陽太は逃げないから」




蒼先輩に肩をポンッと叩かれる。




「なんか蒼先輩、また背伸びました?」




もともとあたしより10㎝近く背が高かったけど、今はもっと大きく見える。




「彩羽ちゃんは一段と大人っぽくなったね」



蒼先輩は3年前よりだいぶ長くなったあたしの髪に触れる。




「ヘアメイクの勉強しに行ってやっと女っぽくなったな」



「晴仁、怒るよ?」



再会して一言目がそれか!?



「……柄にもなく化粧なんかしちゃって」




「……楓先輩」




ぼそっとつぶやいたけど、聞こえてるんだからね!?



「そういう楓さんとハルさんもも去年あたり髪の毛染めたんですよねー」




「え、梨華ほんとに!?」



人のこと言えないじゃん!!って思って2人の方を見るけど、2人は露骨に目を逸らした。



「あんたたち……」




成長したのは背だけか!!中身はそのまんまじゃん!!




……なんて、本当はみんなが変わらずにいてくれたことがほんとうはうれしいんだけどね。



「あ、彩羽ちゃん。陽太がもう最寄駅からこっちに向かって歩いてきてるみたい」



蒼先輩がそういうと、先輩が持っていたスマホが震えだした。




「あ、陽太」



ドキッ




「彩羽ちゃん、シーだよ?」




口元に指を当てる蒼先輩も色っぽいなあ、なんて。



「もしもし陽太?」




蒼先輩はスピーカーモードにして電話に出た。