陽太はあたしのポニーテールを眺めながら何かを考えている様子。




「なに……?」




「よし、決めた。明日一緒に美容院いくぞ。」




「え!?」




「あ、もしかして山川さんのとこ?」




「そう」




山川さんって誰!?




「俺らの行きつけの店の店長でありプロのヘアメイク、山川麻衣(やまかわまい)。勉強にもなるだろうし、俺の連れなら無料で髪の毛も梳いてもらえるはず」




「え!やった!」




美容院でプロに梳いてもらえるのに無料とか!!最高すぎる!!




「蒼、美容院の電話番号ってどこに書いてあったっけ」




「いいよ、俺が代わりに予約しとく」



「よっしゃ、たのんだ」




蒼先輩はスマホを持ってあたしの部屋を出て行った……あれ?




さっきからずっと壁に寄り掛かり、俯いてる楓先輩。もしや……




「……楓先輩?起きてますか?」




そろーっと下から顔を覗き込むと……やはり、立ったまま寝ていたんだ。




「あー、楓ならほっときゃいいよ。こいつはいつでもどこでも寝るし」




「え……」




それはまあ、なんと迷惑な。