京都の……術物堂?
聞いたことのない名前の店だ。
そこの鶴子さんという人に会えということらしい。
でも、全てが分かるとはどういう事か…
考えてみたが、それらしいことも思い浮かばなかったので、同封されていた写真に目を移した。
目が釘付けられた。
まだ若い母と、写真でしか見た事のない父が真ん中で微笑んでいる。
その周りに集っているのは数十人の男女。若い人もいれば、腰の曲がったおばあさんもいる。
写真の日付は十八年前だ。
つまり、私が生まれる三年前。
胸がざわめく。
この人たちは一体誰なのか…
母が生前に伝えられなかった『全て』とは何の事なのか…
私は決意した。
「京都に行ってみよう」
バスを急いで降り、走って家まで帰った。
いつの間にか雨が降っていたが、濡れるのも気にせず、ただひたすらに走った。
このとき、密かに運命の歯車は周り始めていた……
