私は病院を出て、終発のバスに乗った。 私は何を考えていいのか全く分からなかった。 周りから見れば、なぜお母さんの死を悲しまないのかと不思議に思うかもしれないが、本当に涙は肝心な時に出てくれないものだ。 私はそっとカバンから母の手紙を取り出した。 封はされておらず、中に入っていたのは一枚の紙と写真のみだった。 その一枚の紙には、お母さんの字で書かれた文章…… 『京都の術物堂にいる鶴子さんの所に行きなさい。そこに行けば全てが分かるから』