「何が“ゆっくりしてる暇ない”なんだよ」
家から少し離れた先の公園に差し掛かったところで、秀真が言う。
「全然余裕じゃんか。俺、まだコーヒー残ってたのに……」
「ごめんごめん。時計見間違えちゃったみたい」
そう笑ったが、いつも悠が家を出る5分前だったから顔を合わせないようにと思って逃げてきたのだ。
「お詫びに学校の自販機でコーヒー奢るから!」
『――あのっ!』
秀真の肩を叩こうとした時、聞えてきたその声で手を止める。
声がした方に視線を向けると、小柄な女の子がこっちを見ていた。
「うわあ、可愛い……」
彼女を見て、咄嗟にそんな言葉が飛び出た。
「あのっ……」
――これはもしかして。
「じゃあ、私は――…」
彼女が用あるのは秀真だろうと思い、気を遣って先を行こうとしたら「待って」と呼び止められた。

