「あっれ?可笑しいな……いつもフェンスのところに寄り掛かってるのに」
そう思いながら広い屋上を探し回ろうとした時だった。
『――っ……悠っ……』
悠の名前を呼ぶ甘い女の声に、その足を止めた。
『声抑えろっての……もし誰かが来たらどうすんだよ』
二人の声は入り口から死角になっているスペースから聞こえてきた。
“新学期早々こんなところで、一体何をしているの?”
そんなこと、聞かなくても見なくても分かる。
声の雰囲気やトーンの感じで、二人が何をしているのか。
『ねえ、もっとキスして』
これ以上ここに居てはいけない。
私は屋上から立ち去ろうと、ドアの方に振り返った。
けれど次の瞬間、屋上のドアが開いてそこから顔を出した彼に入り口を塞がれた。

