「それで付き合ってくれる?映画」
「付き合ってもらうのは私の方だって。放課後、空けておくから楽しみにしてる」
そう言ってチケットを1枚受け取る。
「よっしゃ!良かった、振られなくて。じゃあ、俺ちょっと友達のクラス行ってくんね」
秀真は返事を聞くと、鼻歌を歌いながら教室から出て行った。
「ふーん?アイツと映画行くんだ?」
「――悠っ!」
秀真が居なくなったと思ったら、今度は悠か……
悠は私からチケットをヒョイっと奪い取り、じっとそれに目を向ける。
「明里は未だしも、秀真が恋愛映画?」
“あり得ない”と言わんばかりに、クスクス笑う悠。

