「――あ、もう終わったみたいだぜ」
サッカー部の部室から飛び出してきた女の子が、私達に見向きもせずに校舎の中に走って行く。
――え、泣いてた?
「何だよ、お前ら。二人して何やってんだ?」
“覗き見しようと思ってた”なんて言えるわけがない。
「いや、今から教室に……っていうか、さっきの子泣いてたけど……」
「ああ、うん。断ったら急に泣きだしちゃってさ。でも優しくしたら期待させることになるから“ごめん”って言ったら、出て行っちゃって」
と頭を掻いた。
「今の子って男子に結構人気ある桜井さんじゃん」
「うん、まあな」
「秀真ってあんな可愛い子にもモテるんだね、知らなかった」
「何々?気になっちゃう感じ?だったら俺と付き合う?」
と冗談かましながら、手を差し出しす秀真。

