二年の教室が並ぶ廊下を通り過ぎ、階段を駆け上がる。
「あれって噂の子じゃね?」
「ああ。二年の日比野明里!」
「男寝獲ったらしいぜ?」
すれ違う先輩たちが私を見てそうはやし立てる。
でも今はそんなことはどうでもよかった。
「梨花さん!」
目的の教室までやってくると、大声で彼女を呼んだ。
「日比野さん。私に何の用?」
振り返った梨花さんは、まるで私がここに来ることを初めから分かっていたかのようにクスッと笑う。
「梨花さんに聞きたいことがあって……」
梨花さんが椅子から立ち上がり、こっちに向かって歩いてくる。
すると突然、教室の入り口に立っていた女の先輩二人が、あたしの前に立って梨花さんの姿を視界から遮った。
「梨花の彼氏を卑怯な手で奪ったくせに、よくも来れたものね」
「最低なことして悪いと思わないの?!」
先輩たちは汚いものを見る目でそう言った。
「いいのよ。私も話があるから」
梨花さんは間を割ってやってくると、ニコッと微笑んだ。

