「他にどんな理由があるのよ」
それでも本当のことをはぐらかす。
「たとえば……好きだから、とか」
「え?何?」
予想外の言葉が返ってきて、驚いて聞き返してしまった。
「俺のことが好きだからキスした。 ……そうじゃねーの?」
何言ってるの?
――もしかして、あたしの気持ちに気付いてる?
「なあ、本当のこと言えよ」
悠は迫り立てるように、階段の壁に手を押し当てて逃げられないようにする。
「俺のこと、好きなの?」
好きだって言ったらどうするの?
どうせ私は振られるのに……。
叶わない想いだって知ってて、本当の気持ちを伝えられるほどそんなに強くない。

