「あの人は一体何考えてるんだよ」
ブツブツと文句を言いながら秀真が学校に急ぐ。
「明里さ、ハルには勘違いされたままでもいいって言ってたけど、あの人には釘刺しといた方がいいんじゃない?」
「うん……」
どうして梨花さんはそんなことを……。
確かに屋上で会った時、付き合っているようなことをほのめかしたかもしれない。だけど、ハッキリと“付き合っている”とまでは言っていないのに……。
「俺、やっぱりあの梨花って女は好かない」
「珍しいね。秀真が人の事を嫌うなんて」
「何かよくわかんないけど、嫌な予感がするんだよね」
秀真の不安そうな顔に、自分も不安を覚えた。
「明里っ!」
教室に入ると、待ちわびていたかのように祐実が名前を呼ぶ。
「どうしたの?そんな慌てて」
机の横にバッグを掛け、椅子を引いて腰を下ろす。
「どうしたのじゃないよ!アンタと立川くんが付き合ってるって噂になってんのよ!」
「え?どういうこと?」
驚きのあまり、祐実の顔を見上げた。

