「雨、土砂降りですね。」 優しさが滲みでた声で少し他人行儀で紳士的なこの言葉に私は恋に落ちました。 「うん、雨、すごいね。」 「駐輪場なんかでどうしたの?」 「友達、待ってて」 「そっか。雨だけど、帰り大丈夫?」 「うん、車だから大丈夫。奏ちゃんは?」 「自転車だけど、カッパあるから大丈夫。」 「そっか、気をつけてね。」 会話は至ってシンプルで普通だったけど、ただ話しかけてくれたことが私は嬉しかった。