「私、様子見に行ってみる!」
「おっ!やっと動くか!」
「うん!
やっぱじっとしてるだけじゃだめだよね」
会いに行かなきゃ会えるわけがない。
話しかけに行かなきゃ話せるわけがない。
もともと私の一方通行、通行止めの恋なんだもん。
怖くて連絡もできなかったけど、好きなら行動しないと好きになった意味がない。
そう思って、気合いを入れて教室を出る。
「っ……すみません!!」
勢いよく廊下に出た瞬間、誰かにぶつかってしまい謝りながら顔を上げると、そのまま固まってしまった。
相手も私をじっと見下ろしている。
川島くんといろいろあって、ってか嫌なことは寝て忘れる主義だから記憶から追いやっていた。
でも、こうやって近くで顔を合わせるのは同じクラスなのに久しぶりだ。
絶対に引きつった顔、動かなくなった足。
「……もうなんもしねぇよ」
私の横を通り過ぎる時、ぶつかった相手の植村くんがボソッとそう呟いた。