「ん?」
「あ、いや……なんでもない、です……」
「なんでもないように見えないけど?」
「な、なんでもないよ!」
私の顔を覗き込んでくる川島くん。
確信犯?
それとも天然?
なんだか、川島くんとの距離が最近いっきに縮まってる気がする。
私の気のせい、なんかじゃないよね……?
避けないでって言われた日から、川島くんは私によく声をかけてくれる。
それに加えてすごく優しい瞳で見つめられる。
気のせい、なんて思いたくない。
だって、前と絶対違うんだもん。
川島くんの態度が。
こんなに明るく話しかけてくれることはなかった。
いつも優しいけど控えめで、心ここにあらずで作った笑顔を向ける。
そんな川島くんは完璧な王子様で、私は川島くんだから大好き。
でも、いまのほうがなんだか光が宿ったように、もっとほがらかで優しくて温かくて、緑が豊かなおひさまでみんなを照らすような王子様って感じ。