少しずつキスが激しくなって、全身を彼の掌が這う。
ぞくぞくする刺激がもっとほしくて、自ら彼の首に手をまわす。
少しだけ唇に余裕を持たせると、割って入り込んでくる舌に、また私は意識を持っていかれてしまう。

「ベッド行こうか」

断ることなんかない。
静かにうなずくと彼は少しだけ微笑んで、私を促す。
少しの理性が今ならやめられると言っているけど、ベッドの縁に座った私を彼はいとも簡単に押し倒す。

「寒くない?」

服を一枚一枚脱ぎ捨てていくたびに空気の冷たさと人肌の心地よさが交わっていく。

「ん……」

何も言わない。何も聞かなくていい。
ただ、今の時間があればいいと思ってしまう。
何も生まれないのはわかっている。
こんなことに時間を使えるほど若さは余っていないこともわかっている。