幸せになりたい。
それは多分、他の人と同じように願望として持っている。

自分はわかっていながらも今の生活を辞めることが出来ない。

触れられる手を払い除けることが出来ない。
もう会わないなんて、口が裂けても言えない。

寂しい。寂しい。寂しい。

人の温もりで寂しさを埋めてしまっているだけだと言われればそうなのかもしれない。

「どうしたの?」

ソファーの上で抱き締められたまま、頭の上から艶っぽい声がする。
声色で求めていることがわかる。
拒否することもない。

「ううん。なんでもないよ」

普段は敬語で話しているけど、時々敬語を崩す。