俺は巫部の双肩を掴むと、少々の緊張と共に瞼を閉じ巫部の方向へと重心を移動させた。早まる鼓動。あと数ミリで巫部の唇に触れると言うところで、
「凜ちゃーん。どこー? そこにいるの? って、きゃあ!」
背後から聞こえる声に二人同時に振り向くと、そこには両手で顔を隠した麻衣が立っているじゃないか。しまった、この状態を見られたのか?
「えっ、きゃああ」
そう言って巫部は俺を突き飛ばし、さっきまで触れ合っていた箇所が急に外気に晒された。
「ちがっ、違うんだからね、麻衣。これは何かのまっ、間違いよ。悪いのはこいつなんだから、そう、そうよ絶対違うんだから」
激しく動揺し、顔を朱に染めながら麻衣に説明する巫部だが、それって意味不明だぞ。
「えっ、ええそうよね凜ちゃん。全部悪いのは蘭よね。うんうん」
同じく顔を朱に染めながら麻衣が頷くが、二人揃って意味がわからん。なんとなく二対一で俺が悪者に決定してしまったようだ。まったくもってやれやれだ。
俺が肩を竦めるジェスチャーをしようとした時だった、遠くから地鳴りのような音が聞こえ、突然屋上が揺れ出したじゃないか! あまりにも激しい横揺れで立っていることも難しくなってきたぞ。
「えっ、えっ、きゃあ」
麻衣はその場にしゃがみこんでしまい、巫部はと言うと、
「何? 地震?」
そう言って、俺の腕に引っ付いてきた。右腕が引っ張られ身動きが取れない俺。しばらくは震度七くらいありそうな揺れが続いていたが次第に揺れが弱くなり、再び静かな屋上へと戻っていった。
「いっ、今のは何? 地震?」
俺の腕に引っ付きながら呟く巫部だが、はっきり言って腕に押付けられている胸の感触が心地良い。
「地震にしては短かったな。なんなんだろう」
俺がそう言うのと同時だった。上の方から何かが剥離するような音が聞こえ、見上げると、闇の世界に亀裂が走っているじゃねえか!
「なっ、何? 今度は何が起こるの?」
麻衣はしゃがみこんだまま、両手で両耳を塞ぎ、目を瞑ったままだった。
そうしている間に闇に入った亀裂は地平線まで届き、文字通り空が割れていくかのような感覚に捉われた。
「もっ、もしかして間に合わなかったのか?」
その言葉も虚しく闇の中に消え、目の前の闇は剥がれ落ちる寸前だった。
「ヤバイぞ、校舎の中に逃げよう」
俺が言うと同時に三人で校舎に向かって走り出すが、轟音とともに闇の一部が崩れ落ち、校舎内へと続く階段を破壊した。
「――っ!」
目の前には剥がれ落ちた闇の一部。見る限りでは真っ黒い物体だが、そんな物が俺たちの進路を塞いでしまい。校舎内に戻れず立ち往生してしまった。
「ねえ、どうしよう」
隣では力なく巫部が俺の制服を引っ張っているが、この状況を考えるに、もうどうしようもないのではないか?
と、ぼんやり思っている間にも闇の一部が剥がれ落ち続けている。周囲に落下したものが散乱し、避けながら屋上内を逃げ回るが、そろそろ限界が近づいてきたぞ。そして次の瞬間、今まで俺たちの上空にあった一番大きな塊が俺たち目掛け落下してきた。これはやばい。確実に避けられないぞ。まさにここで、バッドそして、デッドエンドじゃないか。もうなす術はないのか? だがまあ、この二人と最後の時を迎えられるのであれば、それはそれで悔いもないかもしれないな。
「きゃあああ」
巫部と麻衣の悲鳴が重なり俺たちを闇の世界が覆った。
「凜ちゃーん。どこー? そこにいるの? って、きゃあ!」
背後から聞こえる声に二人同時に振り向くと、そこには両手で顔を隠した麻衣が立っているじゃないか。しまった、この状態を見られたのか?
「えっ、きゃああ」
そう言って巫部は俺を突き飛ばし、さっきまで触れ合っていた箇所が急に外気に晒された。
「ちがっ、違うんだからね、麻衣。これは何かのまっ、間違いよ。悪いのはこいつなんだから、そう、そうよ絶対違うんだから」
激しく動揺し、顔を朱に染めながら麻衣に説明する巫部だが、それって意味不明だぞ。
「えっ、ええそうよね凜ちゃん。全部悪いのは蘭よね。うんうん」
同じく顔を朱に染めながら麻衣が頷くが、二人揃って意味がわからん。なんとなく二対一で俺が悪者に決定してしまったようだ。まったくもってやれやれだ。
俺が肩を竦めるジェスチャーをしようとした時だった、遠くから地鳴りのような音が聞こえ、突然屋上が揺れ出したじゃないか! あまりにも激しい横揺れで立っていることも難しくなってきたぞ。
「えっ、えっ、きゃあ」
麻衣はその場にしゃがみこんでしまい、巫部はと言うと、
「何? 地震?」
そう言って、俺の腕に引っ付いてきた。右腕が引っ張られ身動きが取れない俺。しばらくは震度七くらいありそうな揺れが続いていたが次第に揺れが弱くなり、再び静かな屋上へと戻っていった。
「いっ、今のは何? 地震?」
俺の腕に引っ付きながら呟く巫部だが、はっきり言って腕に押付けられている胸の感触が心地良い。
「地震にしては短かったな。なんなんだろう」
俺がそう言うのと同時だった。上の方から何かが剥離するような音が聞こえ、見上げると、闇の世界に亀裂が走っているじゃねえか!
「なっ、何? 今度は何が起こるの?」
麻衣はしゃがみこんだまま、両手で両耳を塞ぎ、目を瞑ったままだった。
そうしている間に闇に入った亀裂は地平線まで届き、文字通り空が割れていくかのような感覚に捉われた。
「もっ、もしかして間に合わなかったのか?」
その言葉も虚しく闇の中に消え、目の前の闇は剥がれ落ちる寸前だった。
「ヤバイぞ、校舎の中に逃げよう」
俺が言うと同時に三人で校舎に向かって走り出すが、轟音とともに闇の一部が崩れ落ち、校舎内へと続く階段を破壊した。
「――っ!」
目の前には剥がれ落ちた闇の一部。見る限りでは真っ黒い物体だが、そんな物が俺たちの進路を塞いでしまい。校舎内に戻れず立ち往生してしまった。
「ねえ、どうしよう」
隣では力なく巫部が俺の制服を引っ張っているが、この状況を考えるに、もうどうしようもないのではないか?
と、ぼんやり思っている間にも闇の一部が剥がれ落ち続けている。周囲に落下したものが散乱し、避けながら屋上内を逃げ回るが、そろそろ限界が近づいてきたぞ。そして次の瞬間、今まで俺たちの上空にあった一番大きな塊が俺たち目掛け落下してきた。これはやばい。確実に避けられないぞ。まさにここで、バッドそして、デッドエンドじゃないか。もうなす術はないのか? だがまあ、この二人と最後の時を迎えられるのであれば、それはそれで悔いもないかもしれないな。
「きゃあああ」
巫部と麻衣の悲鳴が重なり俺たちを闇の世界が覆った。

