それからは毎日のように放課後は形はおろか存在するかもわからないものを探すという活動だ。ったく、何の部活動だよ。だが、文句を言おうものならその十倍以上の勢いで逆ギレされる。何なんだよもう。
だが、こんあ俺でも唯一の救いは天笠さんとのメールのやり取りだ。連絡先の交換をして以来ずっとメールのやり取りをしている。内容は、まあ、たわいもないもんで、そこから一歩踏み出すなんて勇気は、今の俺は持ち合わせていない。たわいもない会話で十分なのさ。今では、広大な砂漠にあるオアシスのように俺も荒んだ心を癒す唯一のコミュニケーションとなっていた。
そんなこんなで、ある放課後、相変わらず傍若無人女、巫部に口撃されているのだが、今日は巫部の嫌味攻撃は通じない。俺は仏の心を持ったのだからな。いいさいいさ、言いたいのであれば言わせておけばいい。なんたって、俺の鞄の中には、春の到来の先にある春爛漫を予感させる「ブツ」が入っているのだからな。
事の始まりは、本日の朝に遡る。
麻衣と田園風景の中をなんとなく通学し、今日も巫部につきあわなくてはならないのかと、辟易としながら自分の靴入れを開けたのだが、その瞬間俺は自分の目を疑った。
上履きは昨日と同じ位置に置いてあるのだが、その上には、なんともファンシーな封筒が上履きの上に乗っているじゃないか。
「??」
疑問に思い、封筒を手にとってみるが、至って普通の封筒だ。表面には、猫を模したような模様があり、いかにも女子が使いそうな封筒だった。しかも裏面には、「天笠美羽」という手書きの丸文字。
「……!」
言葉を失う俺。そりゃそうだろう。靴入れに入っているファンシーな封筒。しかもあの天笠さんの名前が書いてあれば、こりゃあ。誰だってついに春が来たと思うだろ?
即行でトイレに篭り恐る恐る開封しようとするが、若干の動揺に手が震えがちだぜ。
可愛らしい肉球マークのシールを剥がすと、これまたいかにも女子が使いそうな可愛らしいピンクの便箋が姿を現した。
逸る気持ちを抑えながら、慎重に開いてみると、
「放課後、音楽室にてお待ちしています 天笠 美羽」
短い文章だが、これで十分だ。ついに俺にも春が到来したってもんだ。しかも、あの天笠さんからということは、メールの延長からの恋愛なんてテンプレートに沿ったものだとしても俺の高校生活がバラ色一色に染まったも同然、トイレの個室の中で思わずガッツポーズをしちまったぜ。
と、いう訳で、なんとしても今日は巫部の呪縛から逃れなくてはならない。麗しの天笠さん、待っていてください。
「なーんか、顔がにやけてるんだけど」
目の前に仁王立ちする巫部は少し不機嫌そうに俺を見下ろした。
「いっ、いや、なんでもないぞ」
やばい、嬉しさ有り余って表情に出ていたらしい。ここで感づかれる訳にはいかないよな。
「今日も本格的な捜索よ。いいわね」
「いや今日は少し用事があるのだが……」
「どうせ大した用事でもないんでしょ。さっ、行くわよ」
「いやいや待ってくれ。ものすごく重要な事なんだ。終わったらすぐいくから、見逃してくれ!」
「そう言って逃げる気じゃないでしょうね」
「絶対に逃げないって。だから、な?」
両手を合わせて懇願してみる。俺はこれから音楽室へ行き、女子の告白を受けるなんてミッションを遂行しなくてはならないのだからな。ここは何を言っても見逃してもらわなければ。
「ふーん。よっぽど大事な用っぽいわね。わかったわ。私もそこまで鬼じゃないもの。だけどいい? 明日から毎日有無を言わず手伝うって誓いなさい。そうすれば今日は見逃してあげるわよ」
「する。なんでもする。だから、見逃してくれ!」
「そう、そこまで懇願するとわね。いいわ。今日は見逃してあげる」
そう言って巫部は踵を返すが、これって無事逃れられたって事だよな。必死にお願いしすぎて、あいつが出した条件はあまりきこえながったけどな。
とりあえず見逃してもらったっぽいので、音楽室へ向かいダッシュした。確か特別教室棟の三階だったはずだよな。
だが、こんあ俺でも唯一の救いは天笠さんとのメールのやり取りだ。連絡先の交換をして以来ずっとメールのやり取りをしている。内容は、まあ、たわいもないもんで、そこから一歩踏み出すなんて勇気は、今の俺は持ち合わせていない。たわいもない会話で十分なのさ。今では、広大な砂漠にあるオアシスのように俺も荒んだ心を癒す唯一のコミュニケーションとなっていた。
そんなこんなで、ある放課後、相変わらず傍若無人女、巫部に口撃されているのだが、今日は巫部の嫌味攻撃は通じない。俺は仏の心を持ったのだからな。いいさいいさ、言いたいのであれば言わせておけばいい。なんたって、俺の鞄の中には、春の到来の先にある春爛漫を予感させる「ブツ」が入っているのだからな。
事の始まりは、本日の朝に遡る。
麻衣と田園風景の中をなんとなく通学し、今日も巫部につきあわなくてはならないのかと、辟易としながら自分の靴入れを開けたのだが、その瞬間俺は自分の目を疑った。
上履きは昨日と同じ位置に置いてあるのだが、その上には、なんともファンシーな封筒が上履きの上に乗っているじゃないか。
「??」
疑問に思い、封筒を手にとってみるが、至って普通の封筒だ。表面には、猫を模したような模様があり、いかにも女子が使いそうな封筒だった。しかも裏面には、「天笠美羽」という手書きの丸文字。
「……!」
言葉を失う俺。そりゃそうだろう。靴入れに入っているファンシーな封筒。しかもあの天笠さんの名前が書いてあれば、こりゃあ。誰だってついに春が来たと思うだろ?
即行でトイレに篭り恐る恐る開封しようとするが、若干の動揺に手が震えがちだぜ。
可愛らしい肉球マークのシールを剥がすと、これまたいかにも女子が使いそうな可愛らしいピンクの便箋が姿を現した。
逸る気持ちを抑えながら、慎重に開いてみると、
「放課後、音楽室にてお待ちしています 天笠 美羽」
短い文章だが、これで十分だ。ついに俺にも春が到来したってもんだ。しかも、あの天笠さんからということは、メールの延長からの恋愛なんてテンプレートに沿ったものだとしても俺の高校生活がバラ色一色に染まったも同然、トイレの個室の中で思わずガッツポーズをしちまったぜ。
と、いう訳で、なんとしても今日は巫部の呪縛から逃れなくてはならない。麗しの天笠さん、待っていてください。
「なーんか、顔がにやけてるんだけど」
目の前に仁王立ちする巫部は少し不機嫌そうに俺を見下ろした。
「いっ、いや、なんでもないぞ」
やばい、嬉しさ有り余って表情に出ていたらしい。ここで感づかれる訳にはいかないよな。
「今日も本格的な捜索よ。いいわね」
「いや今日は少し用事があるのだが……」
「どうせ大した用事でもないんでしょ。さっ、行くわよ」
「いやいや待ってくれ。ものすごく重要な事なんだ。終わったらすぐいくから、見逃してくれ!」
「そう言って逃げる気じゃないでしょうね」
「絶対に逃げないって。だから、な?」
両手を合わせて懇願してみる。俺はこれから音楽室へ行き、女子の告白を受けるなんてミッションを遂行しなくてはならないのだからな。ここは何を言っても見逃してもらわなければ。
「ふーん。よっぽど大事な用っぽいわね。わかったわ。私もそこまで鬼じゃないもの。だけどいい? 明日から毎日有無を言わず手伝うって誓いなさい。そうすれば今日は見逃してあげるわよ」
「する。なんでもする。だから、見逃してくれ!」
「そう、そこまで懇願するとわね。いいわ。今日は見逃してあげる」
そう言って巫部は踵を返すが、これって無事逃れられたって事だよな。必死にお願いしすぎて、あいつが出した条件はあまりきこえながったけどな。
とりあえず見逃してもらったっぽいので、音楽室へ向かいダッシュした。確か特別教室棟の三階だったはずだよな。

